「シリアスファン」を手放す決断をして

ブラインドサッカー日本代表、イングランド強化遠征中です。ここまで順調に勝っていることにも安堵しつつ、12月アジア選手権を狙いにした遠征なので、さまざまプランの検証、修正をしていることと思います。応援、よろしくお願いします(協会ツイッターで結果報告のみ行っております)

 

先週の久しぶりのブログの更新の次は、個人的なトピックです。もしかすると読んで不快な気持ちになる人がいるかもしれませんが、自分自身の内省、そしてそれをある程度関係する人に知ってもらうことが大事だと思っての記事なので、だれかを傷つけたいという意図はありません。

 

   *   *   *

 

みなさん、「シリアスファン」っていう言葉、ご存じですか?

 

これ、一般的なのかと思っていたら、まったくそんなことなかったみたいでした。ググっても一般用語としてはでてこないんですね。

そんな言葉を僕が、誰から教えてもらったのかはもう記憶の彼方です。が、この「シリアスファン」をこの10年以上にわたって、僕は自分が大切にすべき価値基準に据えていました。

 

僕なりのシリアスファンの定義要素は、

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アクサブレイブカップを終えて

期末を迎えつつあるなか、ブラインドサッカーにとってシンボリックな日本選手権が7月下旬に差し掛かって終えると、年度が終わっていく気持ちを味わえるこの頃です。
 
さて、そんな「アクサブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」を振り返って。

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 写真 ©JBFA

 

◎ アクサブレイブカップ、日程が2つに分かれる

本大会、予選ラウンドとファイナルラウンドの2日程にて開催されました。これは今回が初めてのことです。その理由はいくつかあります。

 

1つ目は、参加クラブ数が増えたこと

他競技のように、3日間日程で続けてやることや、予選を地域ごとで行うことなども考えましたが、今回はいままでの日本選手権のあり方を失わせずに、かつ、予選で敗退したクラブに負担が減らせるように、日程を分けるという選択肢をとりました。

 

2つ目は、そもそも3日程(=3連休)でグランドを確保することは極めて困難なこと

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ブラサカを見るまなざし。批判の起きにくい障がい者スポーツ界

IBSAブラインドサッカーアジア選手権が終わって、2ヶ月強。

ありがたいことに、「敗退について」の記事を少なくも出していただきました。

この記事、下書きからなかなか出せなかったのですが、この週末から新しい体制でブラインドサッカー日本代表の強化が始まることを受けて、踏ん切りのためにも。

 

徹マガ通巻261号 2020年に直面するブラインドサッカー

フットボール批評 ISSUE08

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などご参照を。

 

チームとしてなぜ敗退したのか?とか、何が足りなかったのか?とかは監督や選手たちの気持ちや解釈こそ尊重されるべきと思っているけれど、振り返る上で、唯一といっていいみんなの共通項があるように思います。

それは、敗退を受けて、(僕らがみずから言うべきことではないと思いつつ)

     批判されないことへの違和感

です。

 

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◎ なぜ批判されないのか?

障がい者に関係することがらは批判とは遠い距離にある

僕らがこのスポーツを通じて達成していきたいことの一つは、障がい者多様性が豊かな状態)との心の距離を埋めていくことにあります。それが埋まってない一つの証が、「障がい者に関係することがら」との世間の距離感です。

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JBFAに求められる「会社っぽさ」

◎ 必要な「会社っぽさ」

たまたま、ピクシブの片桐社長のブログを目にしました。

タイトルは『起業するのはカンタンだけど“会社っぽくする”ことが、難しい』元記事のリンクはこちら

JBFA:日本ブラインドサッカー協会という組織は、いわゆる障がい者スポーツを統括する競技団体ですが、それでは自立して運営していけなかった。だから、存在意義として、僕は「ソーシャルベンチャー」として仕事をしてきたつもりです。

で、いま(というかだいぶしばらく経つ?)直面しているのは、この「会社っぽくすること」の難しさです。

 

◎ JBFAを支えるのべ労力の大きさ

まだまだ零細企業の域をでない我々だけど、お金をもらって働いている人だけでなく、多くの「ボランティア」なんて言えないくらいの高い貢献意欲と成果達成意欲をもった社会人や学生の存在が協会を支えています。

月間稼働のべ労働時間を算出すれば、予算規模の数倍の事業を展開できている力をもった組織だと思うのです。

講演でたまに触れますが、僕の概念では、JBFAに携わるスタッフ〜ボランティアまでを4つのレイヤーに分けて考えています(見直したいのですが)。レイヤー4が一番、時間と労をさき、さらに責任も負っている人たちと考えると、レイヤー3以上の人たちが、いわゆる「核となるスタッフ」と考えています。このレイヤー3以上の人たちって何人くらいいると思いますか?

実は約80名。もちろんライフステージやタイミングによって稼働の上下はありますが、サービス業で80名なら、零細企業→小企業くらいにはなるわけです。

だから、彼ら彼女らが「がんばること」がちゃんと僕らのビジョンに結びついていくことや、「僕のやっていることは役に立ってるのだろうか?」といった徒労感に終わるような仕事の設計は避けていかなくちゃいけない。

頑張った人の労力をできるかぎり失うことなく、ほんとうの意味での力に変えていきたい。

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◎ 組織づくりに対する投資

そう思うと、しっかりと組織としての制度や仕組み、運用を整備していかなくてはいけないのです。その取り組みは僕一人でどうこうできるものではなく、日々事務所に出入りするスタッフたちも一体となって、労を割いてくれています。

いまだに、そういうところに労力を費やすことを、「競技と関係ない。無駄だ」とする向きを感じます。でも、底力ある組織が、長く、しっかりと、競技を支えていくと信じてます。

 

   *   *   * 

 

協会の働き方や中身って見えないことで「協会業」というのは怪しく、重厚で、本来の顧客からすると不透明なものになりがちなんだな、と最近受けた取材で改めて気付きました。ちょっとはそういう中身の情報発信もしてきたいなと思ってます。

 

 

GLIM SPANKY "NEXT ONE" のリリース -ブラインドサッカーがお世話になってきた楽曲

◎ 次へ

先日、ロックデュオ「GLIM SPANKY(グリムスパンキー)」がブラインドサッカー日本代表の次に向けて、『NEXT ONE』という応援ソングをリリースしてくださいました。

GLIM SPANKY のお二人は、以前からブラインドサッカーに共感いただき、「OFFT!ME(オフタイム)」 という大人の個人向け体験プログラムに参加いただいたり、日本選手権に観戦にいらしたり、また選手もGLIM SPANKYのライブに行ったりと交流をしていました。

そして、この曲、実は先日まで開催されていた「IBSAブラインドサッカーアジア選手権2015」の入場曲にも使われていた曲です。

 

どうしてGLIM SPANKYなのか?

それはブラサカの世界観というか価値観と、GLIM SPANKYのそれはとっても近いと感じてます。

世界に向けて自立的に挑んでいるところとか、目標とか、共感ポイントがたくさんあります。
だから、選手たちにとっても響く、と信じてます。

どちらが先に世界をとるか。異分野で素晴らしいライバルが生まれた気がします。

詳しくは電通報にも「アスリートとミュージシャンとコピーライターの新しい関係」として取り上げられてます(電通さんとのプロジェクトではありません)。

 

◎ これまでお世話になってきた楽曲

関係者なら「あれ?他にもいろいろ関係する楽曲あるよね?」と思うことかと。あらためて、Youtubeにアップされているもののみご紹介。

 

応援ソング『キミノコエ』by カズン

 カズンはキミノコエのみならず、カップリングとして『ゴール』という曲も。 

『GOAL』by カズン

 

第10回日本ブラインドサッカーB1選手権福岡大会オフィシャルオング

『Fly away』 by Magic Hour

 

 番外編的に、横浜で活動する buencambio yokohama というチームの応援ソング

『ココロノツバサ』 by kaho

 

 

その他、IBSAブラインドサッカー世界選手権2014でのアンセムもあります(こちらはYoutubeには上がってません)。

どの曲も携わっている人たちの熱く、温かい気持ちの上に成り立っています。商業的な話ではどれもなく、歌とブラインドサッカーが重なりあうことで、少しでも広がりをもつことを願ってだと思います。

 

 

ブラインドサッカーアジア選手権/勝利が社会を変える理由

先日、お付き合いのある皆さまに、メールでメッセージを送りました。
思いの外、社内LANに載せてくれたり、部のMLに転載してくれたり、FBの皆さんのウォールに書いてくれたり、反響をいただきました。

駄文ですが、全力投球です。
一人にでもブラインドサッカーのもつ可能性が届くなら。
ぜひ大会の告知、拡散協力お願いします!

以下、転載です。
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ブラインドサッカーアジア選手権/勝利が社会を変える理由*最後のご案内
 【感謝を伝えたいから観にきてほしい】
 
日本ブラインドサッカー協会事務局長、松崎英吾です。
少し長いご案内ですが、心をこめて書きました。
どうかご一読をお願いします。
(とはいえ、一斉メールでの乱暴なご案内、ご容赦ください。)
 
2016年リオ・デ・ジャネイロ パラリンピックの最終予選となり、
アジア枠【2】をかけ、9月2日(水)-7日(月)まで東京・原宿にて
ブラインドサッカーアジア選手権が開催されます。
 
昨年の世界選手権に続いて、

障がい者スポーツとしてはチャレンジとなる【有料化】
スタンドも、まっさらな場所にゼロから建設します。
 
なぜこんなチャレンジをするのか? 
 
それは私たちが「日本代表さえ勝てばいい」と考えているわけ
ではないからです。 
 
パラリンピック障がい者スポーツは、
【障害】という負のレッテル(スティグマ)を人々の心から洗い落とす光です。
 
その光を一層強烈にするのが、熱狂や情熱を生み出せるスポーツなのです。
 
私たち、日本ブラインドサッカー協会は、勝利によって、協会のビジョンである
《視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざりあう社会を実現する》
に一歩一歩近づきます。
  
勝利はこのビジョンの最強・最大の推進エンジンなのです。
  
その舞台こそが、パラリンピック最終予選、ホーム開催。
しかも原宿という障がい者スポーツらしからぬ立地なのです。
 
 ブラインドサッカーのためにだけ立てられたスタンド。
その雰囲気は独特です。
日本を応援するなかで、いつのまにか障がいの有無を忘れてしまう。
気づいたら、障がいへの偏見から一歩さがって自分をみれる。
 
だから、わたしたちはスタンドをいっぱいにして、その場を素晴らしいものにしたいのです。
それは選手のためであり、ともに携わっていただいた皆さんのため、
社会のためでもあると信念をもって取り組んでます。
 
ブラインドサッカーという競技の成功と、社会変革へのコミットメント。
それこそが、日本ブラインドサッカー協会が、みなさんの支えの中で歩んできたあり方です。
 
そして、選手たちもこの4年、その前の4年に比べ、比較にならない取り組みをし、
さらに大勢の方の支援をいただきました。

それは、多くの期待でもあります。
 
  期待を背負うこと。
  誰かのためにと思えること。
  感謝を強さに変えること。
 
それが選手や、我々までも育ててくれたのだと信じてます。
 
そして、おこがましいですが、こうして支えてくださった皆さんとこそ、
勝利の場をともにしてたいと心から思います。
 
 
   観て応援してほしい。  
 
   それ以上に、
 
   【観て、喜びを分かち合うことで感謝を伝えたい】
  
 
ブラインドサッカーに携わったりご縁のあった皆さんこそ、ぜひ今回、スタンドにいてほしいのです。
 
魚住監督の掲げるスローガン「総力戦」は、これまで少しでも私たちに「がんばれ!」の一言を
かけてくださった皆さんも含まれてます! 
 
ぜひ最後にお力を貸してください。
そして、感謝を歓喜でお伝えさせてください。
 
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9月2日-7日、ほとんどの日本戦は19時30分キックオフで、
会社帰りにも寄れます。
ぜひ、お誘い合わせの上、ご来場ください。
また、情報の告知、拡散に、ご協力お願い致します。
 
 *チケットガイドはこちら 
  http://www.b-soccer.jp/8368/news/asiaticket.html
 
 *お電話での予約はこちら 080-2152-4377
  (月曜:14-19時、水曜:10-13時、金曜:14-19時)
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    同じ夢を見よう。
    見えない人も、
    見える人も。
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固有名詞としての競技団体

密接に仕事でご一緒にしている人からも「スポーツ業界はわかりにくい」と伺うので、少し小ネタも。
 

◎競技団体と社会変革組織

ブラインドサッカー競技団体と社会変革組織の2面を持ち合わせた組織です。
競技団体として社会変革組織のあり方を持っているのは、障がい者スポーツ競技団体ではレアケースだと思います。
 
このあり方が、今のJBFAを作っているとして過言ではないと思っています。
 
今回は、この「競技団体」ってそもそもなんだったけか、という内容です。
ちなみに文部科学省の文脈では「中央」をつけて「中央競技団体」と呼ぶのが一般的なようですが、障がい者スポーツの場合「中央」という表現はあまりないように思います。
 

◎競技団体とは

当たり前のように日本社会では、1つの競技について、1つの競技団体が普及や強化を担っています。(これが歴史的にどう作られてきたのかはわからないのです)
 
たとえばサッカー日本代表が日本サッカー協会JFA)からだけでなく、他の国内組織から「こっちのほうが日本代表だ!」と揉め事になるとたしかに問題です。国際組織も、1カ国で1つの競技団体となるよう指導しているのは、昨今のバスケ業界を見てもあきらかですね。
 
この「競技団体」はある種固有名詞です。英語で略表記されると「NF」(National Federationの略)といってスポーツ関係者では常識的な略称として扱われています。ちなみに国際競技連盟「IF」(International Federationの略)で、これも固有名詞かつ業界常識になってます。
 

◎NFの使命(ミッション)は

NFが担うミッションは、その国内での
 ①競技スポーツの普及・育成
 ②日本代表の組織
 ③国内トップリーグ/選手権等の競技性の高い競技会の運営
が、重要な役割だと私は思っています。
 
認知を広げること・資金調達はそのための手段となれど、上記はその他の組織や団体に任せっきりになってはいけないNFの仕事だと思っています。
 
「山高く、裾広く」なれば、NFではない別のプレイヤー(担い手)が何らかの役割を担い、補います。サッカーでいえば、JFAが直接子どもの指導をする範囲は限定している代わりに、地方競技団体や地域のサッカークラブ、Jリーグ下部組織などが普及にあたります。JFAは子どもを指導する指導者育成を通じて、普及を担っています。
 
各NFによって、裾野の広さや財務状況、組織ケイパビリティなどに応じて、事業展開は異なるものの、優先順位の高い使命は上記3点と思います。
 

◎日本ブラインドサッカー協会はその他のことに口を出している

「日本ブラインドサッカー協会の仕事はなにか?」と聞かれた時、ミッションとして上記のような競技団体運営があります。
とはいえ、ブラインドサッカーのように、ニッチで潜在競技人口も少ない場合、競技団体としてのミッションを果たすためには、NFとしての組織のあり方だけでは脆弱すぎます。
 
だから、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は、その他のことに口も手も出しています。
それは、競技を担っていく存在ではない方に向けて、事業を行っているということ。
 
ブラインドサッカーというスポーツを知ってほしいからイベントや出前授業などを行っている」
 
ようにも思われていて、それは一つの意味としては正しいです。
 
ですが、「混ざり合う社会」というビジョンを本当に実現しようとし、また、そのために組織のキャパシティビルディングをしていくとするならば、この競技団体の純粋なミッションを超えていこうとする動きがキモになります。ブラインドサッカーという「競技」ではなく「スポーツ」が、スポーツ業界をこえたいろいろな生態系とつながる。そのことで、人・資金・モノが健全に動くのです。
 
競技団体としての日本ブラインドサッカー協会。
ソーシャル・ベンチャー(社会変革組織)としての日本ブラインドサッカー協会。
 
この2つの視点から日本ブラインドサッカー協会とブラインドサッカーを見てほしい、解釈してほしいな、と思います。