アクサブレイブカップを終えて
◎ アクサブレイブカップ、日程が2つに分かれる
本大会、予選ラウンドとファイナルラウンドの2日程にて開催されました。これは今回が初めてのことです。その理由はいくつかあります。
1つ目は、参加クラブ数が増えたこと。
他競技のように、3日間日程で続けてやることや、予選を地域ごとで行うことなども考えましたが、今回はいままでの日本選手権のあり方を失わせずに、かつ、予選で敗退したクラブに負担が減らせるように、日程を分けるという選択肢をとりました。
2つ目は、そもそも3日程(=3連休)でグランドを確保することは極めて困難なこと。
2020年に向けてスポーツ大会の会場不足が話題になりつつありますが、スポーツ施設は基本的に「優先予約」の順番があるもの。まだまだ交渉力が十全ではない私たちにとって、3連休を続けて抑えようとすることは難題です。(大会日程の発表がもう少し早くできないのか?という問いの答えもここにあります)
出ている意見では、「地域ブロックごとに予選をしては」という打ち手が次点にあるような印象です。ただ、ブラインドサッカーにとっての日本選手権は地域リーグで対戦しないような地域のクラブと対戦できることに、参加クラブの意義があることもあり、地域代表のようなあり方はまだ先での検討事項だと思ってます。
写真 ©JBFA
◎ 2日程になった効用
日程が分かれた効用もありました。
・各ラウンドの目的がはっきりしたこと
予選ラウンドは32試合の数をオンタイムで、かつ、参加クラブの満足度を高めることが必要でした。観客対応をするには試合数が多すぎ、また、参加クラブ向けの運営と「観てもらうこと」の二兎を求めるにはコントロールする範囲も広く、いまの我々では難易度が高かったです。
一方ファイナルでは、有料化しお客さんに「観てもらうこと」に目的はシフトされました。お客さんの視線から、選手をどうかっこよくみせるか、外向けの取り組みが強化されたラウンドです。
目的を分けることができたことで、ターゲットを絞ることにつながり、打ち手も運営の意識も明確になったと思ってます。また、クラブの選手やスタッフも、ファイナルがどういう意味付けなのかを理解しやすくなったように思います。
・グループリーグが試合数に集中して取り組めたこと
近い効果ですが、グループリーグ32試合がすべてオンタイムで実施されたことは特筆に値します。時間通りの進行なんて当たり前でしょう?と思われるかもしれませんが、オンタイム進行には隠れたボトルネックや3面同時進行の要因も含まれると、それほどシンプルではなく、難易度は高いものです。
今回運営スタッフたちは事前からのすり合わせや、お互いの関係性強化を図っていて、当日のトラブルやリスクにも主体的に対応できていたことが推進要因になった印象です。
・ベスト4のクラブが、ファイナルまでのあいだに相手への対応をとれたこと
決勝戦まですべての試合が終了し、お客さんの皆さんには「例年より試合の内容が良かった」という声を多くいただきました。選手が囲み取材でも答えていましたが、予選ラウンドからファイナルラウンドまで3週間。相手クラブの戦術や技術から対応策を練り、練習で強化するには十分な時間が会ったように思います。
まさに切磋琢磨が高いレベルでされてきたことで、人を魅了するようなプレーにも繋がったことでしょう。
蛇足ですが、予選ラウンドでも新規参入クラブ、(順位的に)中位クラブ、上位クラブとレイヤーに幅が出たことで、ドラマが生まれやすくなったことも記しておきたい効用です。
・グラスルーツの選手とトップ選手との利害のバランスがよりよくなったこと
上記に関わりますが、日本選手権とはいえ、ブラインドサッカーのような障がい者スポーツでは、一生涯スポーツとして取り組んでいる人から、日本代表クラスまで、技術や動機づけに幅がある選手や関係者が同じ場にいるのも特徴です。
一生涯スポーツとして取り組んでいる人の中には、当然ながら「有料で観てもらうことなんて考えていない」「自分のチームの立ち居振る舞い含めて、観客に見てもらって大丈夫なの?」といった不安や心配の声も上がっていました。
予選ラウンドとファイナルラウンドの目的が分かれたことで、選手たちの動機づけのマッチングも過去大会よりチューニングができたように思います。
◎ 有料席の枠の拡大
前回は100席程度の有料席だったところ、今回は600席ほどが有料席に。国際大会ではより多くのチケットに取り組んできましたが、まだまだ国内大会での有料はそのあり方が定まっていないところがあります。
予期していなかった思わぬ作用としては、まだまだわずかな選手や関係者ですが、クラブに所属する関係者が、チケット販売に積極的に取り組んでくれたことです。