強化費とはなにか?

●強化と強化費

都知事辞任でオリンピック・パラリンピック招致にも多少の関心が集まっています。

「競技団体の責任者としてはどうなの?」と聞かれることも多いですが、招致にしろ、パラリンピックが注目されるにしろ、「強化費」という"事実”について、日の目が当たる必要があると思っています。

それは、強化を下支えする強化費の仕組みの理解なしに、組織の財源がどうあるべきかや、パラリンピックがどうあるべきか、は前提条件を共有できていないと思うからです。

 

●日本ブラインドサッカー協会の「強化費」財源

JBFAでいうと、強化費の名目での収入は

 

 ・JPC(日本パラリンピック委員会)からの強化費助成

 ・個人の日本代表の遠征等にいただくカンパ、寄付金

 

の2つが主にあてられる収入源です。 組織全体予算から言うと、企業からの収入が多いJBFAですが、純粋な「強化費」に企業協賛がつくことはなかなか難しい実体があります。

 

「難しい」とは

 

 ・たとえば日本代表が意義付けの高い海外遠征に行く場合、その遠征費の足りない分に協賛、寄附をいただいた実績はあります

 ・しかし、「強化合宿の費用」「日本代表のトレーニングに関わる費用」では協賛、寄附は難しい ということです。

 

●JPCの強化費とは何か?

一般的に「強化費」というと、JPC(=日本障害者スポーツ協会)からのものが、“競技団体”の主財源となります。

この強化費はどのような計算式からなるのか、それは、成果主義です。

定められた国際大会の成果によって、ランクが「特A〜E」まで定められ、そのランクに応じて助成額が定められます。

 

その算出方法は

  ①・・・(直近の大会成績)×(大賞大会での入賞率 + 大賞大会への選手参加数)

  ②・・・(基礎点)+(加点) ① + ② =最高100点

と算出されます。

 

この得点に応じて、ランク(特A〜E)が付けられるのです。

ちなみに、この数式でブラインドサッカーの点数から導き出されるランクは、「D」です。

 

金額で見ると、平成16年度(2004年)まではゼロ円。平成17年(2005年)〜平成21年(2009年)まではおおよそ50万円前後。平成22年(2010年)以降は100〜150万円です。 (金額が上がっているのはJPCの強化費予算総額が上がっているためです)

毎年、算出方法に修正があるものの、概ねの考え方はここ数年同じ印象です。

 

また、現在は算出の計算において団体競技への配慮がありますが、数年前まではそれもなく、“成果”を出せていない団体競技にとっては厳しいものでした。

この仕組みは、成果が出た競技は一層成果が出やすく、成果が出ていない(または新しい競技)競技は自助努力が不可欠なシステムだと思います。

ブラインドサッカーの例でいえば、スタートアップのステージにあるなか、合宿、遠征の主要な資金源は「強化費」に求められない中で、団体競技として成果をださなければならないことになるのです。

 

なお、アテネパラリンピックの頃の2004年の強化費は0円、決算総額は約400万円です。

ロンドンパラリンピック前年の2011年のパラリンピック競技でいうと

 特Aランク:1,600万円×1.5

 Aランク:1,000万円×1.5

 Bランク:600万円×1.5

 Cランク:400万円×1.5

 Dランク:200万円×1.5

 Eランク:100万円×1.5

これに重点配分として、のべ1億円弱が選別された競技に助成されています(ブラインドサッカーは対象外)。

 

申し添えると、僕はこのシステムに賛同的です。「強化費」は大元をたどれば税金。オリンピック同様に「競技」の選択と集中が進んでいくのは、もはや覆る潮流ではありません。

 

●そこで、突きつけられる問題

厳然たる事実として、この配分方法がある中、絶対的な強化費も足りない中、ブラインドサッカーはどんな戦略が取れるのでしょうか?

 1)企業スポンサーを取る

 2)個人カンパ、寄付を募る

 3)他の助成金を取る

 4)強化に関わるコストを下げる

 5)それでもJPCの強化費に頼る

方法としてどんな戦略をとるか、そこに組織としての考え方、戦略、価値観があるのだとおもいます。

JBFAでは一定の仮説でこの課題に取り組んできたつもりですが、世の中にはどう写っているのでしょうね。