固有名詞としての競技団体

密接に仕事でご一緒にしている人からも「スポーツ業界はわかりにくい」と伺うので、少し小ネタも。
 

◎競技団体と社会変革組織

ブラインドサッカー競技団体と社会変革組織の2面を持ち合わせた組織です。
競技団体として社会変革組織のあり方を持っているのは、障がい者スポーツ競技団体ではレアケースだと思います。
 
このあり方が、今のJBFAを作っているとして過言ではないと思っています。
 
今回は、この「競技団体」ってそもそもなんだったけか、という内容です。
ちなみに文部科学省の文脈では「中央」をつけて「中央競技団体」と呼ぶのが一般的なようですが、障がい者スポーツの場合「中央」という表現はあまりないように思います。
 

◎競技団体とは

当たり前のように日本社会では、1つの競技について、1つの競技団体が普及や強化を担っています。(これが歴史的にどう作られてきたのかはわからないのです)
 
たとえばサッカー日本代表が日本サッカー協会JFA)からだけでなく、他の国内組織から「こっちのほうが日本代表だ!」と揉め事になるとたしかに問題です。国際組織も、1カ国で1つの競技団体となるよう指導しているのは、昨今のバスケ業界を見てもあきらかですね。
 
この「競技団体」はある種固有名詞です。英語で略表記されると「NF」(National Federationの略)といってスポーツ関係者では常識的な略称として扱われています。ちなみに国際競技連盟「IF」(International Federationの略)で、これも固有名詞かつ業界常識になってます。
 

◎NFの使命(ミッション)は

NFが担うミッションは、その国内での
 ①競技スポーツの普及・育成
 ②日本代表の組織
 ③国内トップリーグ/選手権等の競技性の高い競技会の運営
が、重要な役割だと私は思っています。
 
認知を広げること・資金調達はそのための手段となれど、上記はその他の組織や団体に任せっきりになってはいけないNFの仕事だと思っています。
 
「山高く、裾広く」なれば、NFではない別のプレイヤー(担い手)が何らかの役割を担い、補います。サッカーでいえば、JFAが直接子どもの指導をする範囲は限定している代わりに、地方競技団体や地域のサッカークラブ、Jリーグ下部組織などが普及にあたります。JFAは子どもを指導する指導者育成を通じて、普及を担っています。
 
各NFによって、裾野の広さや財務状況、組織ケイパビリティなどに応じて、事業展開は異なるものの、優先順位の高い使命は上記3点と思います。
 

◎日本ブラインドサッカー協会はその他のことに口を出している

「日本ブラインドサッカー協会の仕事はなにか?」と聞かれた時、ミッションとして上記のような競技団体運営があります。
とはいえ、ブラインドサッカーのように、ニッチで潜在競技人口も少ない場合、競技団体としてのミッションを果たすためには、NFとしての組織のあり方だけでは脆弱すぎます。
 
だから、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は、その他のことに口も手も出しています。
それは、競技を担っていく存在ではない方に向けて、事業を行っているということ。
 
ブラインドサッカーというスポーツを知ってほしいからイベントや出前授業などを行っている」
 
ようにも思われていて、それは一つの意味としては正しいです。
 
ですが、「混ざり合う社会」というビジョンを本当に実現しようとし、また、そのために組織のキャパシティビルディングをしていくとするならば、この競技団体の純粋なミッションを超えていこうとする動きがキモになります。ブラインドサッカーという「競技」ではなく「スポーツ」が、スポーツ業界をこえたいろいろな生態系とつながる。そのことで、人・資金・モノが健全に動くのです。
 
競技団体としての日本ブラインドサッカー協会。
ソーシャル・ベンチャー(社会変革組織)としての日本ブラインドサッカー協会。
 
この2つの視点から日本ブラインドサッカー協会とブラインドサッカーを見てほしい、解釈してほしいな、と思います。