世界からトップチームが来日する意味[その1]
2012年3月16日〜21日にかけて、日本に初めて、アジア以外のブラインドサッカーチームが上陸します。
その国はスペイン。
ブラインドサッカー界の歴史ある強豪国であり、日本とは馴染みも深い国でもあります。
●これまでのスペインの活躍
正直に言って、ボクもスペインのことを大して知らないのですが、ここ数年の成績だけを振り返っても強豪国の地位は揺るいでいないことは明らかです。
2008年 パラリンピック北京大会 第4位
2009年 ヨーロッパ選手権@フランス 第3位
2010年 世界選手権@イングランド 準優勝
2011年 ヨーロッパ選手権@トルコ 準優勝
特に日本も出場した2010年の世界選手権では、試合巧者として決勝まで進んだ様子が印象的でした。
そんなスペインのような強豪国をなぜ日本のクラブチームの日本一を決める「FIAT presents ブラインドサッカークラブ選手家2012」に招待することとなったのか? その理由と波及効果をご紹介します。
●その1.各チームが肌で世界を感じること
もちろん、ブラインドサッカー日本代表はこれまでもスペインと対戦をしてきました。スペインだけでなく、ブラジル、中国、アルゼンチンなど世界の強豪国との戦いは日本代表の成長の歴史でもあります。
しかし、日本代表として世界に出れるのは毎回わずか10名。世界のレベルを草の根のレベルでも感じれる機会は貴重です。
・中期的な育成
その意味で、世界強豪との国内各クラブとの対戦機会は中期的な育成の機会でもあります。国内の切磋琢磨にとどまらず世界を相手にすること、その体格の違いや試合運びは新たに選出され世界で戦ったメンバーが驚きを口にするもののひとつです。
これからの日本代表にとって、そんな「カルチャーショック」が世界の本番舞台で初体験とならず、世界感覚をみにつけた上で、トップの代表として戦って欲しい、それは、日本代表を強くすることでもあると考えています。
・井の中の蛙であると知ること
そして、国内で日本一をとっても、世界との開きはまだまだある。そのことも知ってほしい。
国内の「競技」としての勝利の先にもまだ戦いがあること、その認識が生まれることで国内でのさらなる切磋琢磨を期待したいところです。
*とはいえ、招致したスペインに日本のクラブが勝利をおさめて欲しいですね!*
[中国とスペインの選手。中国も小柄な選手が多いけれど、スペインの「大きさ」は目立ちます]
●その2.代表が世界のチームと試合を増やすきっかけとなること
今回の招待では、スペインは17日、18日に開催されるフィアットカルチョに参戦するだけでなく、20日(祝日・火)に、日本の強化チームと親善試合も実施します。ロンドンでのパラリンピックの予選で敗退した日本にとっては、短期的な強化機会とはなりませんが、それでも世界強豪との試合機会が増えることは大きなメリットです。
・短期的な育成
今後、再結成する日本代表チームにとっては、この親善試合が問題意識をもつ一つのきっかけになるはずです。また、次の日本代表を目指す選手、特に世界と肌を合わせたことのない選手にとっては最適な「自分の実力」を知る場となることでしょう。
・絶対的な試合数も必要
これまで、日本代表の世界との戦いの場=「本番」でした。練習試合で世界と戦える場はなく、世界選手権やパラリンピックの予選となる大会や、まさにそういった世界の舞台こそが、唯一の世界のチームと対戦できる場だったのです。今回のように、「親善試合」という位置づけでは、さまざまなテストも実施されることでしょう。
絶対的な海外の強豪国との試合経験が、強化につながると考えている次第です。
[その2]に続く